遠くから子供たちの声
彼方からは失われた歌
そしてすぐ傍で囁かれる 衣擦れの音

ああ 原色の帳が降りて
ああ 世界が刹那 彩紋に恵まれる

さざなみのように届く鈴の音は夕暮れの化身
視覚ではなく 聴覚へと己を誇示する
そして私は気付くのだ
私の目がとうに潰え
世界のすべてが音色に変換されたことを

揺らぎながら在り続ける景色
空の果て 天体の動きに廻る色彩の渦
それらは皆 あらゆる楽器の音階に姿を換え
私の感受性の先端に響く
なんて幸福な盲目の交響楽だろう!
喘ぐほど溺れ 恍惚とたゆたうここは
まるで光のパイプオルガン

忘我を貪り味わう私の耳へ
さらりと また 衣擦れの音がした
極彩の帳が落ち
黒曜の静寂が空を覆ったのだろう
見えない目を瞬きながら
私はまた今日という一日が
優しさの喇叭(らっぱ)に包まれ眠ることに微笑む