夏の宵を 汗で薄めるのが好きだ
月明かりと薄墨みたいな空気の中
隣で眠る君の体を浮き輪代わりにたゆたう
君のかすかに汗ばんだ皮膚はすべて
私のためにある とこっそり思う
あたしはそうやって
自由を求め回遊魚をまねる君に悟られぬよう
こっそりと君をキズモノにするよ
夜が明けたらまた
あたしたちはばらばらの他人になるね
恋も愛も ふたりを本当に繋いではくれない
明日も明後日も
次の瞬間さえ 本当はわからない
君の塩辛い頬に口づけて
あたしは君に海を想う
荒れ果てるときも 凪ぐときも
その胸に抱かれれば帰ってゆける
そして朝陽を浴びながらあたしは
君の海となるため 立ち上がることができる