泉の底で
白い骨が歌っている
僕は深く沈んで
いつかその声に還って行く

彼は僕にとってかけがえのない存在だった
愛情も関心も
憎しみも嫉妬も
恋慕も懐かしさも
全てが彼に向かっていた
彼は僕に光を射る唯一だった

激しい雨が降った後 僕らは中庭へ出た
むき出しの膝小僧が無防備に空気に触れる最後の夏だった
君は梔子の香りを愛していると言い
僕は梔子の花を全て手折ってしまったのだった

僕の愛情が君を殺してしまうなんて
僕の執着が君の心を閉ざしてしまうなんて
いつか君が死ぬよりも酷いことになるなんて
そんな残酷なことがあるだなんて

散らばった梔子の花弁の中
君の震える唇がとても儚く見えたことだけを覚えている
君は優しかったけれど意気地なしだった
静かに壊れていく運命を呪っていたくせに
僕を突き放せずにいたんだろう?

深く潜る心の泉には
いつか憎しみの余り殺してしまった君の名残がある
僕の激しさに飲まれ溺れ死んだ君の骨を撫でながら
僕もまた同じような運命を願っている