窓ガラス越しに
洗濯物がばたばたとはためく音や
花びらが引き千切られていく音がする
生温い風が鉛色の空をまだらに染めて
もうすぐ 嵐を連れてくる
こんな 何もかもが今すぐに瓦解してご破算になってしまいそうな
束の間の絶望が漂う夜明けには
ぼくと
ぼくを包み組み立てる骨と皮と肉
そして赤く滾る血だけをもって
ここじゃない何処かへ旅立てるような
そんな気がするんだ
南から北上してくる熱帯低気圧は
知らない場所で眠る沢山の他人も
いつか巡り逢うはずの君の気配も
遠い昔に打ち棄ててきた記憶たちも
何もかもをないまぜにして
季節ごと空の彼方へ吹き飛ばしてしまうから
ぼくもそれに乗って往くんだ
開け放した窓は割れそうに震え
僕を不吉に引きとめ苛むけど
ただこの瞬間 ぼくはぼくの進路を確信してしまったのだ