私は渇いていなくてはいけない
私は無味無臭でなくてはいけない
私は白痴でなくてはいけない

成長は 破棄されなくてはいけない

 経血とカルキのニオイが同じだと知ったとき
 それは大人という時代の訪れだった
 少しの薬と剃刀では死ねないことくらい
 とうの昔にわかっていたけど

  身体の真ん中に飼い馴らしている血溜まりが
  男を狂わせるのだという
  堪え切れずに溢れれば ほら
  そこから地獄の口が開く
  そこから地獄の手が伸びる

   追い駆けてくる身体を振り解けない
   伸ばされる手から逃れられない
   ぴたりと張りつき 侵入してくる体温
   同じ種類の生き物だなんて 気付きたくない

    思考が溶けて 混ざるような錯覚
    嫌悪に暴走したこれは防衛本能だろうか?

   沸きあがる欲望を振り解けない
   伸ばしてしまう手を抑えきれない
   ぴたりと吸いつき 飲み込まれる刹那
   同じ種類の生き物だと 安堵したい

  身体の真ん中に飼い馴らしている絶望が
  とうとう狂って暴発した
  堪え切れずに溢れ出したなら
  そこはもう地獄の荒野
  悪魔の顔でのさばる荒野

 破瓜の瞬間 カルキのニオイを嗅いだ気がした
 まるでこの呪われた希みを浄化されたようだ
 少しの薬と剃刀で視た夢よりも酷い
 独りよがりの妄想だけど

夜は暗くなくてはいけない
朝は訪れなくてはいけない
現実は残酷でなくてはいけない

君は 温かくなくてはいけない