遠くでうなるサイレンの音と重なるのは
ついこの間飼い始めた小動物の物音

彼岸で誰かが死んでゆく
此岸で鼠が餌を齧る

幸と不幸のステルス・ミルフィーユ
私はどっちにいるんだろう

今は適度に寒く暖かく
生きてゆくのに不自由しない
今は適度に深く非現実
かなしいことなど存在しない

密室の中の一人芝居
届かない声に苛苛とする

真夜中の一歩手前
消された蛍光灯に 窓の外走る車のライトが反射する
まるで誰かからのSOS

今は適度に忙しく無常で
生きてゆくのを考えない
今は適度に茫漠 虚しく
思い煩う必要もない

ぬるい否認の繭の中
私は懸命に 本当の現実から目を逸らしている
いつだって見えないのは本当の自分の姿で
どうやって目を醒ませばいいかわからない

今も薄い眠りの膜の中 目を閉じたまま