「あ。教科書忘れた。すいません、見せてくださーい。」
今日もお決まりの台詞。

『いーですよー。ていうか毎日じゃん、持ってくる気ないでしょ。』
「まあまあ。机くっつけていい?」
『えーどうしよっかなー。』
「ありがとー。寄るね。」
『無視かい(笑)まあいいけど。』
今日もお決まりの流れ。


えー。このxを先に求めることによって―――


『全然わかんない。よくわかるねこんなの。』
「1回解れば簡単だよ。俺でもわかるんだし。」
『私よりは全然頭いいじゃん。なんでこの式使うのかちゃんと説明してほしいよー。』
今日も小声で意味のない会話をして。


後ろから2列目の窓側の席は とても日当たりがよく。
外では下級生が体育の授業でサッカーしてて
それを眺めていると
『聞かなくても問題解ける人は余裕ですなー。』
そんなこと言われたり。
「いいでしょー。」
ちょっと余裕を見せてみたり。

5時限目なんかは一番眠くなる時間。
うつらうつらと寝てる友達も何人かいるし、
それに倣うように僕も俯き目を閉じる。

『寝ちゃうのー?』
「んー。わかんなかったら教えてあげるから起こして。」
『うん。わかんなかったら起こす。おやすみ。』
「あい。おやすみー。」
とは言うものの。
目を閉じると隣から聞こえる文字を書く音が妙に気になって。
さらには呼吸の音も気になって。
極めつけは自分の呼吸の音も気になって。
中々寝れないんだよね。
とりあえず寝たフリするけど。気がつかれないように。

そんな火曜日5時限目。50分間の幸せタイム。